こばなし3

時世の短歌を詠む   「歳月を共に過ごした我が妻よ 達者で暮らせ グッドバイバイ」 うーむ、いまいちか。 カミサン「なにブツブツ言ってるのー。布団干すから早く起きてよ」 はい。  …

こばなし

子供のころテストで100点をとると、お袋が頭をナデナデしてくれた。 両側にかろうじて残っていた髪の毛を刈り、スキンヘッドにした。 最近頭をナデナデされる夢を頻繁に見る。それがとてもリアルで「ああ、もう…

ツイッターに投稿 こばなし1

この間のことだ、真夜中に目覚め隣のベッドで寝てるカミサンが気になった。 「もしや」 ソロリソロリ布団に手を入れた。 「なにするのよー」 慌てて手を引っ込める。 何を勘違いしたんだぁ、バアちゃん。 それ…

束の間のときめき

束の間のときめき   「新たな箇所に、腫瘍ができてますね」 三年前に肝臓癌を患い入院して手術。その後の経過観察として半年に一度のCT検査で新たに膀胱に腫瘍が見つかった。経尿道的膀胱腫瘍切除術…

那須高原サービスエリアで

「あず坊」 リサイクルショップでやっと探しだし、買っておいた広沢虎造の ”追分けの時次郎” とか言う浪曲を、うっとり聞いていたババちゃんが、「いがったぁ。いがったぁ」を連呼しながら拍手し終わると、俺を…

スローモーションブギウギ

スローモーションブギウギ 第一部 ハローワークなんていうおどけた呼び名の職安には、これといった資格もなく、めでたくもない誕生日がきて三十六になった男を採用してくれる企業などそうあるわけがない。道路沿い…

無題のドキュメント

車で15分ほど走ってK公園に来た。車を駐車場に入れ子供たちが遊ぶ広場を通り、横に長い階段を登りながら高台にある時計台をみる。 友人との約束の時間まであと10分。学生時代よくここで彼女と待ち合わせしたも…

風の行方  第一部

⑴  そいつは高校時代に同じ柔道部にいた奴だった。こんなところでばったり会うとは。クラスも別で部活を通してそれなりの付き合いはしていたが、特に親しいという訳ではなかった。 蒲田駅から歩いて20分の国道…