無題のドキュメント

車で15分ほど走ってK公園に来た。車を駐車場に入れ子供たちが遊ぶ広場を通り、横に長い階段を登りながら高台にある時計台をみる。

友人との約束の時間まであと10分。学生時代よくここで彼女と待ち合わせしたものだ。彼女は真っ赤なミニクーパー、僕のは中古のサニークーペ。

季節は10月に入ったばかりだが薄手のジャケットでは肌寒い。

ぼんやり回想していると約束の時間を20分過ぎた。まだ来ない。

どうしたんだろう?

ポケットに入れた携帯が振動した。

モシモシ。

えっ!

待ち合わせをしていた友人の奥さんだった。

急に容態が悪くなり救急車で病院に入院したとのこと。駐車場に引き返し病院に向かう。遅かった……。まだ38。これからだというのに。

38で亡くなった彼の一時間と俺の一時間とは違うはずだ。時間って過ぎていくのではなく切り替わっていくだろうか? 過去も未來も今現在に重なって存在して……。

そんなことをK公園のベンチに座り思う、72歳の俺。

 

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