貧乏学生のバイト話し

ストリップエレジー ツイッター版

ひょんなことからストリップ劇場の照明係をするようになり、ようやく馴れ始めたころ、親子連れが流れてきた。

どういう事情か知らないが私は一種の哀れさをもってその親子連れをみていた。

母親は北海小町という芸名で、お決まりと言ったらいいのか着物姿で踊っていた。娘さんの方は愛リーンという芸名でハーフのような彫りの深い顔立ちの17歳。

(いいのかな? ストリップ)中二階にある照明室から舞台に綱を張りその上を渡る曲芸と手裏剣投げの芸だ。

「ここんとこX=○に、何故なるの?」

通信制の高校生でもある彼女を、いつしか舞台後照明室で勉強を教えることに。

首を傾げ僕を見上げる眼差しにドキッ。

 

「明日映画に行かない?」

客席を掃除していると愛リーンが誘ってきた。

明日はちょうどお休み、愛リーンは明後日に大阪の劇場に行ってしまう。

「何か面白いのやってるかなあ」

行ってみようかな。(本当は飛び上がりたいほど嬉しいのに・・)

昼間見る愛リーンの真っ白いブラウスが眩し過ぎる。

映画は面白くなかったが喫茶店で、「お金貯めてお母さんと食堂開きたいんだ」楽しそうに夢を話す彼女。

この思い出だけでしばらくはハッピーな気持ちになれると思った。

別れの日、新宿駅まで送って行った。

彼女が見送る僕に、電車の窓越しに口を近づけ「サヨナラ」とは違う何かを言った。

「また・・いつか会おうね」

僕にはそう聞こえてきた。

 

 

 

 

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